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風情を味わう。
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UPDATE : 2023.10.13
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UPDATE : 2023.10.13
小学生の頃、落語好きだった親父に連れられて寄席で昼寝をしたあと、浅草で「どじょう料理」を食べて帰るのが月一の恒例行事でした。
柳川鍋をつつきながら熱燗を呑む親父を見て、なんだかいいなと感じていました。社会人駆け出しの頃、職場の先輩に連れられて入った凛としたバーで、背筋がキリッと伸びて、しなやかな指でカクテルを美しくつくるバーテンダーに見入ってしまいました。
ある鮨店で食事をしていたら、着物姿の初老の紳士がすっと入ってきて、握りを四、五貫つまむと、風のようにさっと店を後にしました。残された客たちは「格好いいね」とつぶやきました。かつて銀座にあった店は、畳敷きのカウンターで、粋な着物を着たお母さんが、気風よく客の対応をしていました。おひたしやコロッケやおでんなど、何気ない、でも上品な料理や空気感が好きでした。
こうして思い起こしてみると、風情を味わえる店、あるいは風情を感じさせる客が普通にいる店はいいなぁ、としみじみと感じます。何も、特別な店でなくていいんです。たとえば近所の蕎麦屋で、ちょっと気の利いたものを肴に呑んでいると、それを思うんですよね。
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